海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

こういう出来事が青山先生の事を


『大人の男の人なんだな』

と、感じさせる。


そして、


『相葉先生も同じようにするのかな…。』


そう、思った。



そんな青山先生の言動の一つ一つが、どうしても相葉先生と重なった。


顔も声も全然違うし、きっと物事の考え方だって違うのに、


“大人の男の人”という共通点だけで、


振り払っても、振り払っても、相葉先生の姿が浮かんでいた。



目の前にいる青山先生にも、私の為に動いてくれる瑞穂にも、とても失礼な事をしているのは分かっている。


決して“無意識だから良い”とは思わないけれど、自然と相葉先生の事を思ってしまうのは、


申し訳なく思いながらも、自分自身、どうする事も出来ずにいた。



お店を出てから、


「青山先生、本当にご馳走様でした。また来週!」

そう言って私達が手を振ると、


「おぅ!気をつけて帰れよー。」

青山先生は私達に手を振り返して、その場を立ち去り、


その時のシャンとした背筋が、また相葉先生の姿と重なった。



お互い車に乗り込んでから少しすると、青山先生の車が私達の前に来て、


通りすぎる時、サッと手を上げた青山先生に私達が手を振り返すと、


先生の車はそのまま大きな通りに入って、他の車の波に紛れていった。



「じゃあ、瑞穂の家まで送ってくね。」

「うん、ありがとう。」


私達もゆっくりとファミレスの駐車場を出る。


青山先生が走っていった方向とは、全く逆方向だった。