――――…

「はぁ…。」


私は自分の部屋に入るなり、電気もつけずに溜め息をつきながらベッドに倒れこんだ。


気分は最悪だった。



私は瑞穂と梢と3人で学校を出ると、先程の事を二人に話しながら帰ってきた。



瑞穂が


「私が渡すように言わなければこんな事にはならなかった…。」


と、後悔をしていたけれど、



「それは違う!」


と、私は何度も瑞穂に言い聞かせた。



渡した事が悪いんじゃない。


私の言動が良くなかったんだって思ってるから、瑞穂は全く気にする必要なんか無い。



結局、二人と話して出た答えは、


“ひどい事を言ってしまったのは、謝るしかない”って事で…


それは、人として当たり前の事だから話し合うまでもない事なんだけど。


だけど…


なんだか気分は重かった。



相葉先生に謝りたい反面、会いたくないという気持ちがあったから。


自分がバレンタインデーの夜に見た事と、相葉先生が言った事が食い違っている事に、未だに腹を立てているからかもしれない。


嘘をつかれたという事に対して、意地になっているだけかもしれないけれど、


いつもなら素直に謝っている自分の心境とは、何かが違ってた。


“悪い事をした”


その事を謝るべきなのは分かってるけれど、自分も傷ついた分、素直になれそうにない。



「はぁ…。」


私はもう一度大きな溜め息をつきながら、仰向けで寝転がったまま額に手を乗せ、目を瞑った。


相葉先生の笑顔や、


バレンタインデーの夜に見たアパート前の光景が、


私の脳裏を何度も過ぎていった。