パソコン教室の引き戸を引いてみると鍵はかかっておらず、ガラリと音を立てて開いた。
『きっと相葉先生がいる』
そう思いながら中に進み、パソコン教室の準備室のドアをノックすると、
「はい、どうぞー。」
その相葉先生の声を聞いた瞬間、私は昨日見た光景を思い出して、ほんの少しだけドアを開ける事を躊躇した。
けれど、その光景を振り払うようにして
「失礼します。」
そう言って、私はドアを開けた。
「あぁ、河原。まだ残ってたのか?」
私を見た相葉先生は、本当にいつもと変わりなく私に声をかけた。
「あの、先生にこれを渡したくって…。」
私は持ち歩いていたバッグから、ケーキが入った包みを取り出して相葉先生の前に差し出した。
「何も気を遣わなくて良かったんだぞ。」
そう言いながら、相葉先生は申し訳なさそうに微笑み、
「いつもありがとう…。」
と、私が差し出した包みを受け取ってくれた。
「ううん。」
私は微笑みながら、首を軽く横に振った。
相葉先生はニコニコしながら椅子に腰掛け、
「これはケーキ?」
と聞いてきたから、
「うん。あ、なるべく早めに食べた方がいいかも…。」
そう言った後に、続ける言葉がみつからなくて無言になってしまった。
心の中に、ずっと消えないものがある。
昨日の約束の事や、光景、今までずっと気になっていた大崎先生との関係。
わだかまりの全てが、私の心から溢れそうになっていた。
『どうして…?
相葉先生、それだけ…?
昨日の事は何も言わないの…?』
ドクン、ドクンと、心臓の音が聞こえてくる。
その一瞬が、とても長くて重い時間に感じた。
『きっと相葉先生がいる』
そう思いながら中に進み、パソコン教室の準備室のドアをノックすると、
「はい、どうぞー。」
その相葉先生の声を聞いた瞬間、私は昨日見た光景を思い出して、ほんの少しだけドアを開ける事を躊躇した。
けれど、その光景を振り払うようにして
「失礼します。」
そう言って、私はドアを開けた。
「あぁ、河原。まだ残ってたのか?」
私を見た相葉先生は、本当にいつもと変わりなく私に声をかけた。
「あの、先生にこれを渡したくって…。」
私は持ち歩いていたバッグから、ケーキが入った包みを取り出して相葉先生の前に差し出した。
「何も気を遣わなくて良かったんだぞ。」
そう言いながら、相葉先生は申し訳なさそうに微笑み、
「いつもありがとう…。」
と、私が差し出した包みを受け取ってくれた。
「ううん。」
私は微笑みながら、首を軽く横に振った。
相葉先生はニコニコしながら椅子に腰掛け、
「これはケーキ?」
と聞いてきたから、
「うん。あ、なるべく早めに食べた方がいいかも…。」
そう言った後に、続ける言葉がみつからなくて無言になってしまった。
心の中に、ずっと消えないものがある。
昨日の約束の事や、光景、今までずっと気になっていた大崎先生との関係。
わだかまりの全てが、私の心から溢れそうになっていた。
『どうして…?
相葉先生、それだけ…?
昨日の事は何も言わないの…?』
ドクン、ドクンと、心臓の音が聞こえてくる。
その一瞬が、とても長くて重い時間に感じた。

