――――
―――――…
それから、様々な雑誌やお菓子の本を見て悩んだ結果、バレンタインデーにはザッハトルテを作る事にした。
『相葉先生、喜んでくれるかな…。』
そんな風に先生の事を想いながら、ケーキの材料やラッピング類を選ぶ時間は、本当に楽しくてワクワクした。
相葉先生に何かをプレゼントする時、いつもはパソコン教室の準備室で渡している。
けれど、どうしても私はもう一度だけ…
『最後にもう一度だけでいいから、相葉先生の家に行きたい。』
そう、思っていた。
私の心の中には、雨にあたって相葉先生の部屋に行った時の、あの時の先生の姿がずっと心に残っていたから。
もう一度、あの時の相葉先生と私で会いたいって思ったんだ…。
“後悔しないように”
その言葉をもう一度心の中で唱える。
この言葉を呟くだけで、いつもなら躊躇してしまうような事でも出来てしまうような気がした。
私は自分の部屋にある電話の子機を掴むと、相葉先生の家の電話番号を押した。
数回の呼び出し音の後、
「もしもし。」
相葉先生が出てくれた。先生が家にいた事にほっとしている自分がいた。
「もしもし、河原です。」
「あぁ、どうした?」
私からの電話には、相葉先生ももうすっかり慣れっこになっているようだ。
「あのね、先生…。」
「うん?」
相葉先生の“なぁに?”っていう意味の「うん?」っていう言葉で、一瞬、続きを言う事を躊躇ったけれど、
“後悔しないように”
その言葉が頭を過ぎり、私はスゥと深く息を吸い込むと、そのまま、
「あのね、バレンタインデーにチョコレートを渡したいから、当日、夜7時に先生のお家に行きます!」
勢いよくそう言うと、
「別に学校でいいのに。それに7時じゃ時間も遅いだろう。」
相葉先生は少しだけ驚いたように答えた後、すぐに
「…って言うか、気を遣わなくていいんだぞ。」
そう言いながら、照れ笑いをした。
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それから、様々な雑誌やお菓子の本を見て悩んだ結果、バレンタインデーにはザッハトルテを作る事にした。
『相葉先生、喜んでくれるかな…。』
そんな風に先生の事を想いながら、ケーキの材料やラッピング類を選ぶ時間は、本当に楽しくてワクワクした。
相葉先生に何かをプレゼントする時、いつもはパソコン教室の準備室で渡している。
けれど、どうしても私はもう一度だけ…
『最後にもう一度だけでいいから、相葉先生の家に行きたい。』
そう、思っていた。
私の心の中には、雨にあたって相葉先生の部屋に行った時の、あの時の先生の姿がずっと心に残っていたから。
もう一度、あの時の相葉先生と私で会いたいって思ったんだ…。
“後悔しないように”
その言葉をもう一度心の中で唱える。
この言葉を呟くだけで、いつもなら躊躇してしまうような事でも出来てしまうような気がした。
私は自分の部屋にある電話の子機を掴むと、相葉先生の家の電話番号を押した。
数回の呼び出し音の後、
「もしもし。」
相葉先生が出てくれた。先生が家にいた事にほっとしている自分がいた。
「もしもし、河原です。」
「あぁ、どうした?」
私からの電話には、相葉先生ももうすっかり慣れっこになっているようだ。
「あのね、先生…。」
「うん?」
相葉先生の“なぁに?”っていう意味の「うん?」っていう言葉で、一瞬、続きを言う事を躊躇ったけれど、
“後悔しないように”
その言葉が頭を過ぎり、私はスゥと深く息を吸い込むと、そのまま、
「あのね、バレンタインデーにチョコレートを渡したいから、当日、夜7時に先生のお家に行きます!」
勢いよくそう言うと、
「別に学校でいいのに。それに7時じゃ時間も遅いだろう。」
相葉先生は少しだけ驚いたように答えた後、すぐに
「…って言うか、気を遣わなくていいんだぞ。」
そう言いながら、照れ笑いをした。

