海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

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履歴書の作成と面接の練習を経て数日後。


私の就職試験の日になった。



今回の試験は面接のみで、学校の授業が終わってから会社を訪問する事になっていた。


髪や制服をきちんと整えて、会社に向かう。


私は物凄く緊張していたので、会社の前に着いた時に深呼吸をした。




スーハー…スーハー…



気持ちを落ち着かせて会社の中に入り、事務の女性に案内されるがまま部屋に通されると、


面接官は会社の社長と、私の直属の上司になるであろう部長の二人だった。


その二人から座るように勧められて、私は「失礼します。」とソファに腰を掛けた。


ここまでは練習通りだった。




だけど…



練習の時には「志望動機」とか「自分の性格」とか、色んな質問内容で練習してきたのに、


実際に話し始めると、全くと言っていい程練習したような質問はなく、


ずっと社長が話していて、時々部長と私が


「そうなんですかぁ。」とか、


「そうですねぇ。」という、


相槌を打ってばかりだった。


訊ねられた事と言えば、家族構成位。




結局、最後までこんな感じのまま、面接が終わってしまった。




「結果は学校の方にご連絡しますので。」

最後にそう言われて、私はその会社を後にした。



この日、自宅に帰ってから


「面接どうだった?」と両親に聞かれて、


「いやー…社長の話を聞いて終わった感じ…。」

と答えると、



「えっ!それだけ!?」

…って驚かれたっけ。


驚かれても仕方ないと思う。


全然、面接らしくないって自分でも感じたのだから。



翌日の瑞穂と梢、他のクラスメイト達も驚いていた。


「いいなぁ!」って言ってた人もいた。


確かに、楽な面接で良かったのかもしれない。



だけど…。



『全然良くなかった!』


そんな風に、後々、素直に喜べない状況になる事を、私はほんの少しも予想していなかったんだ。