海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

「どうしてダメなの…?こんなに好きなのに…。」


想いを口にした途端、更にいくつもの筋を作って涙が零れ落ちた。


大好きな人に抱き締められているのに、

こんなに切ない気持ちになる事があるなんて

この時まで私はちっとも知らなかったよ…。


「先生は“先生”で、私が“生徒”だから?」


そんな私の問いに相葉先生は、


「…それもあるよ…。」


と、少しの沈黙の後、静かに答えてくれた。


私の耳元には相葉先生の吐息と雨音が響いている。


このまま時が止まって欲しかった。


学校も、生活も、何もかも、


雨が私達を隠してくれたら良かったのに―…



そんな私の願いを壊すかのように、脱衣室からピーッ、ピーッという脱水が終わった事を知らせる音が聞こえてくる。


「じゃあ…生徒の中で、他に好きな子がいるから?」


私は加奈子の事を思い出していた。


『もしかしたら加奈子とも、今の私と同じような事があったのかもしれない。』

そう、思ったからだった。


「どうしてそうなるんだ?それはないよ。河原みたいなのがそんなに沢山いたら、俺の身がもたない。」


相葉先生は驚いた様子で即答した。

その時の先生の態度で、加奈子とは何もないのだと確信に近いものを感じていた。


「じゃあ、大崎先生がいるから…?」


私の背中に回っていた相葉先生の指がピクッと動いた気がした。