海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

相葉先生はそのまま俯いて溜め息をつくと、両手を私の頬と髪から離した。


そして、



「え…?」


ゆっくりと私の事を抱き締めた。


抱き締めて、また頭を撫でてくれたんだ―…



「せ、先生…。」


ドクン、ドクンという私の心臓の音が、絶対に伝わってただろう。


そんな相葉先生の心音が私にも伝わっていたから。


私の背中に回った相葉先生の腕は温かく、

同じように私も相葉先生の広い背中に腕を回した。


私達は抱き締め合っていた―…


相葉先生の香りと温もりに包まれて、


私はとっても、とっても幸せに感じていたんだ。


だけど―…



「…ごめん…。」

「えっ?」

「ダメなんだ…。」

「え…?」


相葉先生は私を抱き締めたまま、小さな声で呟いた。

先生のその小さな声は私の耳元でしっかりと響いていた。


「どうしてもダメなんだよ…。河原の気持ちには応える事ができないんだ…。」


相葉先生は私の肩に顔をうずめるような体勢で、腕の力を緩める事無く、しっかりと抱き締めたまま自分の想いを口にしていた。


「どうして…?」


私は聞き分けのない子供のように聞き返した。


『こんなに先生の事が好きなのに。』

そう思っただけで涙が込み上げてきて、先生の肩越しに見える視界が歪んでいた。