「やっぱ俺の服じゃ大きすぎたかぁ。」

そう言ってカップを持った相葉先生は振り返り、


「ここ、座りな?」

私にソファに座るように促すと、その前にあったテーブルにコトンとコーヒーが入ったカップを置いてくれた。


「ありがとうございます。」


ペコリと頭を下げた私に、相葉先生は「どうぞ。」と頷くと、


「制服貸して?脱水かけるから。」

そう言って手を伸ばした。


「あ、はい、すみません…。」

私は相葉先生に制服と羽織っていたカーディガンを手渡した。


自分がついさっきまで着ていた物を渡す事が恥ずかしく思えて、仕方がない事なのに私は少しだけ後悔していた。


「どうした?」

「えっ?」


洗濯機のスイッチを入れた相葉先生が戻ってきて、私の右隣に座ると顔を覗き込んだ。


「なっ、なんでもないです…。」


慌てる私を見て、相葉先生はまたククク…と笑っている。


「もー!笑わなくてもいいじゃん!」


キーッと怒ったふりをすると、


「だって河原、さっきから驚いたり、赤くなったり、青くなったり、百面相だぞ。見てて飽きない。」


そう言って、じっと私の顔を見つめるものだから、私は恥ずかしくて首にかけていたタオルで顔を覆った。


チラッと相葉先生を見てみると、まだこちらを見ている。

優しく、でも面白がるような、ちょっぴり意地悪な笑顔を浮かべていた。


「もう、恥ずかしいからそんなに見ないでよぉ。」


私は先生の腕をポンと押した。

学校にいる時とは全然違う雰囲気に、私は戸惑いを隠せずにいた。