あれから2人、私と和歌は長居したトイレを後にして教室に向かった。

私の足取りが凄く重くて、後半は和歌に腕を引っ張られて引きずられていた気がする。



「しっかりしなさいよ!!」


「…だってぇ」

怒りが込められた和歌の言葉に、私は気まずくなって言葉を濁した。


「ほら、樋本君が見てるよ。」


「えっ」


和歌の一言に驚いて、私は咄嗟に樋本君の席を見た。

その樋本君は居ない。

あっ、和歌の奴、嘘ついたな。

「和歌!嘘ついたでしょ…っていない」


隣に居た和歌は、とうに居なくなっていて、逃げたのだろうと確信する。

あぁ、もう。

どうしたらいいんだろっ。



私はダンッと頭を机に打ち付けて突っ伏した。

思いの外大きな音が出たから、きっと周りの人は驚いてるんだろなぁ。



突っ伏したままで、手を後頭部にやる。

乱れた髪がくすぐったい。


凄い伸びたなぁなんて考えつつ明日休みだし美容室行こうかな。
多分腰あたりまであるから、胸辺りのセミロングにしよう。


これは和歌が驚く。

そう思うと少し笑ってしまった。


ガラッと扉が開く音がした。
古い校舎だから所々ペンキが剥げてるし黒ずんでいる。
校長先生みたいだな。なんて凄い失礼なことを考えてしまった。

コツンって頭を軽く拳で殴る。

「よしっ!」

いきなり立ち上がったからか、周りの人が驚いた。

その四方八方から来る視線に不味くなって私は教室を飛び出した。


もう。和歌はどこいったんだろ。