「やはり……そうだと思ったよ」

父は、煙草をつぶし一言いった。

「えっ?」

「昔から、浩子はひとりで過ごすことが多かった。私も母さんも家にいることが少なかったしな。親の愛を知らないで育ったかもしれないな。でも、私たちは浩子を愛し続けた。浩子も教師になった時はとてもうれしかったよ。でも、最初からわかってたんだ。浩子は、絶対いつか生徒を愛せない日が来ると」

そういうと、父はコーヒーを飲んだ。

父がそう思ってたなんて初めてしった。

私は、教師になってから多忙すぎてあまり実家には戻っていなかった。

連絡すらできなかった。

問題を起こしたときだけ、助けを求めるだけだった。

親を頼るのはよくないこと。

そう生徒に言ったことがある。

でも、一番親を頼っているのは私かもしれない。

もう一度原点に戻って…、あの2年1組の生徒たちに見返せるようなそんな先生になってやろう・

そう私は決心した。

「お父さん、ありがとうございます。私、もう一度ゆっくり考えてみます。今日はこっちに泊まっていきます」

そういって、私は父に一礼して部屋を後にした。

きっと父はほほ笑んでくれただろう。

そう思った。

実家に帰ると、母が出迎えてくれた。

何も言わずに荷物を運んでくれた。

私は、自分の部屋に閉じこもって隠しカメラのデーターを消す作業を始めた。

しかし、消すに消せなかった。

なぜならば、あの生徒たちからメッセージがあったからだ。