それは、とても過酷なものだ。

単に人を騙せばいいと考えている人がいる。

それは、大きな間違えである。

テストでは、1点ももらえないということだ。

「人を騙すってどうやんの?」

長田が問いかけてきた。

「騙すのは、ただ単にウソを付くわけじゃないんだ。すべて、アリバイまで作っておく。俺らが教育委員会に言ったことはもうバレている。それを認めたら俺らの負け」

「でも、どうや……」

俺は、長田が再び問い詰めるような言い方をしたときに間に言葉を発した。

「認めても別にイイのだ。どの事件でも犯人が事件を認めない限り事件は解決しないだろ?だから、最終的に認めればいい話だ。でも、その前に山岸のコレまでの行動を校長達に訴えるんだ」

「でも、やっぱウソを付くのは……」

今度は、前田が弱音を吐いた。

「ウソは、付かなくていい。俺達が山岸にどんなことをさせられたかをいえばいいんだ。どうせ、校長や教頭なんてそんなの認めない。自分の学校の地位が下がってしまうから」

そう認めないのだ。

今、條河中のレベルは市内でトップ3には入っている優秀校だ。

だから、レベルを下げたくないのだ。希望枠のなかに入っているこの学校は、人数不足を抑えるために授業を念入りに行っているのだ。

そして、成績を上げレベルの高い学校に入学させ「この中学に入るとあの頭のいい山城高等学校に入れるんだ」という噂が出てくる。

だが、こういう山岸みたいな教師がいると「生徒達に暴言を言う先生がこの学校にいる」という噂が出て人数が希望より少なくなってしまうということだ。

だから、ウソでもなんでもいいから【いい学校】に校長らはしたいわけだ。

さて【いい学校】というのはどんな学校か。

それは、俺にも不明なことだ。



ガラガラ――