近くて遠いキョリ

「え?」



「前はね、冷たかった」



「どういうこと?」



「同居しだしてからも冷たかったんだけど、冷たくするのやめたわって言われて……だから、だから」



そう、わたしは悠に冷たくするのやめたわって言われた


その時は嬉しかったけど、好きな人には冷たい態度を取るってこと思ったら、全然嬉しい事じゃなかったんだよね。




「美希、大丈夫!?」



いつの間にか泣いていた



わたしはなんで悠の事になるとこんなに涙が出るんだろう…






「だから、嫌いなの。悠はわたしのこと…嫌いなの。」




「優しかったことは?」



「…えっと、花火大会に行って、迷子になるからって手繋いでくれた…」



「美希!あんたどこまで鈍感なの!」



「グスン…へ?」



「へ?って鈍感めー!」



「だって、そういうことしてくれたのは幼なじみとしてじゃ…ないの?」



「はぁ…とりあえず、これからの悠のことよく見ておきな」


「は、はい…」