* KING *

圭さんに連絡が入った。

「杏 出番よ。あなたは今 超イケてる女。会議室にいる男共を 全員虜にしておいでよ。さぁ行って! 」

人前で自分を出して注目される事なんて 一生ないと思ってた。

先輩までに続くランウェイは私の初舞台。精一杯輝く様に 服だけ浮かない様に…

扉を開け 外の未知なる光を求めて進む。先輩が眩しいものを見る目で 笑っている。

私も先輩が笑っているから笑う…他の人がいる事を忘れる位に…

「彼女が新しいブランド「COLOR」のイメージガールでデザイナーの安藤 杏果さんです。コンセプトは『個性』です。今までにない色の持つ不思議な世界を皆さんに見て貰いたいと思います。」

パチパチと拍手をされる中 私は歩く。
フワリフワリと。背中には見えない羽を纏って。

本当のモデルではないから、モデルウォーキングもわからないし、出来るわけもない。

だけど、多分きっとこれでいいんだ。だって先輩が見た事もない位に優しく微笑んでいた…

大丈夫だよ、杏は今この世界で1人じゃないから…って言われてるみたいな気持ちになった。

ゆっくりと 夢の中の様なランウェイを歩き終え 先輩の前までたどり着いた。

小さい声で「先輩ありがと。」と呟き、先輩にそっと抱き付き 頬にチュッと音を立ててキスのお返しをした…