先輩と話していると本当に休めなくて そうこうしていると、医務室の先生が出勤して来て 先輩は部屋へと帰って行った。

先生が診察して下さり、少し眠った。

目が覚めた。竜野君がベッドの脇に椅子に座っていて 手を繋がれている。

「竜野君 暇なの?」

「起きがけに辛辣な。ハハ……だいぶ顔色は良くなったみたいだけど?それと、今は昼休みだよ。お腹空かない?」

「寝ていたから、余り空いていないかな?」

「そう?スープなら飲めるかなと思って コンビニで買って来たんだけど飲まない?

俺昼ここで食べるつもりで買って来たんだ。先生にも了承済みだから。」


「うん、スープなら大丈夫かな?ありがとう。竜野君って優しいね。私優しい人に弱いの知ってたの?」

「へぇ知らない…その情報ゲット俺的にラッキー///待ってて、お湯入れて来るから。」

竜野君はフットワークも軽く、直ぐに急騰室に向かい スープを作ってくれ 持って来てくれた。

「ほら起き上がれる?何なら フウフウして食べさせてあげようか?」

クスクス笑いながら 起こしてくれる。

「そこまで手を煩わせては申し訳ないし、自分で食べれるよ…」

「杏果はお世話したくなるんだよね。普段おっとりしてる訳でもないのに、何でだろ?」

うん?お世話したくなるんだ?どっかで 聞いた様な 感じたデジャブ?

それって。
私が何も出来なさそうな雰囲気を醸し出していて みんなそう思ってしまうみたいな?

だめだめな女だな。まぁ何も出来ないから間違ってはいないのが 辛過ぎるけど…

「俺が何でもしてあげたいんだ///普段はそんな事ないけど杏果限定で。優しいの好きなんだろ?」

「うん彼氏じゃなくても優しくしてくれるの?」

「そうくるか…厄介だな。でも、それもありか。彼氏じゃなくても優しく出来る。」

「竜野君は 百瀬さんとは 180度くらい違うよ。百瀬チーフに見習ってもらわなくちゃ。」

「俺が何だって?」

不機嫌MAXの男がやって来た。

「お疲れ様です。どうされたんですか?杏果の事は 俺が見ていますから、百瀬さんは 部屋に戻ってもらっても構いませんよ?」

空気が一瞬のうちに変わった?

「チーフはお昼食べたんですか?」

「杏は…それ竜野からか?」

「はい。買って来てくれたんで 今から食べるところです。竜野君も昼休みなくなっちゃうから 早く食べよう。」

「ああ、そうだね。百瀬さん失礼して 頂きます。」


先輩の前で 食べ始める二人。先輩がそっと 紙袋を私に渡す。

「食べれそうなら食え。」


へ?先輩が買って来てくれたの?


「ありがとうございます。後で頂きます。」

「ああ。お前今日無理なら帰れ。その時は 送って行くから勝手に帰るなよ。」


それだけ言って先輩は帰って行った。


「何だよあれ?お前の上司、あれありか?」

「たまに優しい。それだけ…」

「ふ~ん。百瀬さん強敵過ぎ…杏果。お前は案外鈍いな。」

鈍い?鈍くなくちゃ…無理でしょ?竜野君は知らないから そんな簡単に言えるんだよ。

紙袋の中身は 小さい一口サイズの可愛いおにぎりが、数種類入っていた。

また私の知らない先輩が 私の心に入って止まない。

どうしても気持ちは溢れる一方通行のまま、戻る事さえ許されない 見えない場所に向かって行くしかなかった。