私を動かしたのは やはりこの人。

「おい、お前ぼぉっとし過ぎ…ほら座れよ。」

さっきのデジャブ。
…じゃなくって、、、

リアルに座らされた先輩の膝の上。


「///なっ。どうして?」

「ちょっと杏不足を解消させろ?」

は?意味がわからない…。

しかも後ろから抱きしめて 私の肩に顔を置くとか。

…ち、近い顔が…

先輩の匂いが ぶわっと香り 頭がクラクラする…やばい───。

この危険な甘い香りは脳をダメにする…

「先輩のバカ…。」

小さい聞こえない声で愚痴る。


「さっき圭にハグもキスされてたよな?お前好きなやつしかハグもキスもしないって言ってたはず。あれって嘘か?」


しかも私の耳元で話し掛けるとか、やめて欲しい。ビクンって反応しちゃったじゃない…


「クスッ。」


絶対わかってて、わざとだ。


「何、耳がだめ?へぇ杏でも弱い物あったとは意外。」


「///もう、いい加減離れて下さい。仕事出来ないじゃないですか?」


「仕方ない解放してやる。さてと、ここに今後のスケジュール書いてあるから見とけ。」


やっと解放され、おかしな事になっていた心臓が落ち着きを取り戻す。

「来週に デザインしたサンプルの一部が上がってくるんですね。楽しみだ。」


「そうだサンプル揃ったら、撮影はスタジオで取るから、太るなよ?」

「撮影って?私が?」


「勿論カタログ作るんだよ。お前モデルなんだから、当たり前だろ?」


何だか自分の事なのに他人事のような感じだ。

「作品を形あるものとして それを記憶と記録に残さないとな。」


先輩はイチイチ格好いい。自分がとても大切に扱われている様な勘違いをしてしまう。


先輩の心に 私も記憶されたい。何処にいてもどんな時でも。1秒でも長く…