沢山の荷物を持ち タクシーで圭さんの自宅へと向かう。

着いた場所は…日本家屋。広い手入れが行き届いている庭付きのお家。部屋の中は 和で統一されていて、圭さんと和がミスマッチの様で 逆にオシャンティ。

「素敵なところに住んでるんですね。凄く癒されます。今は暗いから、昼間の明るい時にじっくり見たいです。」

「杏、あなたさえ良ければ 、好きなだけいていいのよ。部屋も沢山あるし、ゲストルームは いつでも泊まれる様になってるわ。」

「本当ですか?息が出来ない時、来てもいいですか?今日みたいな日とか…。」

「この子は…全く。はぁ…困った人。こっちにおいで…」

圭さんの胸の中に飛び込んだ。とくとくと規則正しい鼓動が聞こえ 他には何も聞こえない。

「ねぇ杏 私本当はね応援したくないのよ。だけど あなたが余りにも可愛くって仕方ないの。」

「だからね、私の気持ちは置いといて。あなた頑張りなさい…ほら、そんな顔しないの。美人が台無し…。」

鼻の頭をちょんと突いて 圭さんが笑う。

「ねぇ、お腹空かない?杏のお料理の腕前は?一応聞いてあげる…期待は全くしてないけどね♪フフ…」

「もぅ 圭さん酷い。だけど予想通りの女子力0で、食べるの専門ですよ。」

「やっぱり?だけど実は私も出来ないのよ。困ったわね…アハハ!」

圭さん面白過ぎる…意外な様で意外じゃない?もぅ わざと笑わせてる?

声を我慢して笑ってたら

「失礼ね。私お料理はダメ、向いてないの。だって作ってくれる人がいたら、甘えちゃうでしょ?」

圭さんの恋人はどんな人なんだろう?男?女?考えれば考える程 わからない。

誰にも頼れない二人は 諦めも早い。近くに食べに行く事にした。無難な選択で正解だ。

その日は 帰って直ぐにお風呂に入らせてもらい、早く寝床に入った。

先輩に明日どんな顔で会えばいいんだろ?
心身共に疲れていたのか 早からに意識を飛ばしていたようだった。