色部に戻り 圭さんの顔を見た途端に また涙か溢れて出して…

「どうしたの?杏…ねぇ抱きしめてもいい?」

フルフルと首を振るのを無視して 圭さんが私を抱きしめ 優しく頭を撫でてくれる。

「どうせ凱人でしょ?杏泣く位 酷い事されたのね…」

ガチャ…扉が開いて 先輩が部屋に入って来た。

「杏 お前…何で圭ならいいんだよ?」

「………」

「凱人 杏は今からどう考えても仕事出来る状態じゃないわ。だから連れて帰る。

あなた マジ メンタルヤバいわよ。ちゃんと杏にした事反省しなさい。

でないと…杏 あなたと話しなくなっちゃうから、本当大人になってよ。じゃあね…」

「杏、帰るのか?」

「………」

圭さんに引きづられながら部屋を出て 会社を後にした。

「1人でいると、ろくでもない事ばかり考えるから、今日は私の家に来るのよ。わかった?」

圭さんに強制的に決められ、帰りにデパートに寄り、やれ服や下着や お泊まりする物を私に買い与える。部屋着までも買うので、最後 何だかおかしくなって 笑っていた。

「やっぱり杏は泣いてる顔より 笑ってる顔が私は好きよ。まぁ、苛めて泣くのは別だけどね…クスッ」

ちょっと怖い事を言う圭さんだけど、今日は今だけは圭さんの優しさに救われた…