浴衣は着たし。
メイクもしたし。

ピンポーン

「はーい」

「…今日のお前、可愛すぎだから。
行くぞ?」

「…!ウン!」


りんご飴食べて、綿あめ食べて、射的して…

意外とバレない。


打ち上げ花火が上がる。

「梨花。」

名前を呼ばれて顔を上げると、健太にキスされた。

「ん…やぁ」

二人の唇が絡み合う。何度も角度を変えてだんだん深くなっていくキスに、頭がふわふわして。

健太に溶けていく。

「梨花…愛してる。」

そう甘く囁かれたら。

「私も。」

素直な言葉が唇からこぼれ落ちる。


「そろそろ、帰るか。」

「うん。」

手を繋いで人目も気にせずに歩く。


家に着くまではあっと言う間。


「バイバイ」

そう言うと、おでこに優しくくちびるが落とされる。

「じゃあ。」

そう家に入って行く健太は近いのに遠くて。

いつかは、堂々と隣を歩けたらいいな。次にデートする時までに、可愛くなろう。

そして、いつかは本音をどんな時でも言える素直な子になろう。

そう心に誓って、眠りについた。