「ま、これで私の前の席は埋まったわけだ」
満足気に話す彼女。
教室に入った私達は、色んな意味で注目の的だった。
「……汗」
彼女は住谷美麗と言うらしい。
確かに…白藤と、住谷。
『住谷と同クラかよ…』
『保健室登校の奴だぞ』
彼方此方から聞こえるヒソヒソとした声。
まー、こうもベラベラと。
私だって好きでこんな身体に生まれてきたわけじゃ無いっつーの。
「見てんじゃねーよ」
どすの利いた声で静かに呟く住谷さん。
私もそれくらい出来ればな〜なんて。
「っち…来んじゃなかったわ。かーえろ」
そんな言葉が後ろから聞こえた。
嘘でしょ!?
せっかく喋れる人が見つかったのに…!
「だ、ダメダメダメ…、お願いだからここにいて。ね?汗」
席を立った住谷さんの腕を掴み、小声でお願いする。
「あ?」
「住谷さんが居てくれたから、私教室に入れたの…!」
暫くぽかんとしていた住谷さん。
だけど。
「…やっぱあんた面白ぇーわ」
ふっと笑うと、ストンと椅子に座りなおした。
「ぃ、良いの?」
「あたしが居ないとダメなんだろ?」
ニヤッと笑うその姿は、天使なのか悪魔なのか…。
取り敢えず、楽しんでいる様子。