お父さんもお母さんもいない。
いるはずの廉くんだって、この暗い部屋の中ではどこにいるかわからない。
これじゃまるで、ほんとにひとりぼっちみたいだ。
そう、ひとりぼっち。
停電の中、ひとりぼっち。
そう考えた途端、小さい頃の「あの」嫌な記憶がまた蘇ってくるような気がして、私は思わずその場に座り込んだ。
こんなに暗いんだから見えないはずなのに、自分の体が震えていることはよくわかって。
どこに何があるかわからないこの状況の中、私はひとり震え続けた。
このまま朝までずっと電気がつかなかったらどうしよう…………
そんな最悪な考えが頭をよぎるから、体の震えはますます大きくなるばかり。

