「あ、あのぅ…………
もしかして、松川廉くんですか……?」






ほらやっぱり。




振り返ると、案の定そこには頬を紅潮させた大学生くらいの女。




朝早かったら誰にも見つかんないという甘い考えが間違いだった。






「はい、そうです」




内心めんどくさかったけど、それを顔に出さないのが俺の仕事のルール。




さっと営業用スマイルを作り出すと、女の顔がわかりやすく赤く染まった。




「え、えっと、私廉くんのこと大好きで…………!
それで、えっと………大好きです……」




他に言いたいことないのかって軽くツッコみたくなるのを我慢して、笑顔で頷いて手を差し出す。