「ちょ、もうちょっと向こう行って。狭い」




「もうこれ以上無理だって。
極限まで詰めてるんだから!!」




「いや、まだ全然行けんじゃん。
そんなに俺とくっついて寝たいの?」




「はぁぁぁぁぁ!?!?!?」





二人でベッドに入ったはいいものの、そう簡単におやすみなさいとはいかなかった。




自分のスペースを巡って、言い争う私たち。




「松川廉と一緒に寝る」という世の女の子たちの憧れのシチュエーションだけど、それを楽しめる余裕はないみたい。





「もー、お前と話してると朝になりそうだからもう寝るわ。おやすみ」




唐突に会話を終わらせた廉くんがそう言って背を向ける。






そっちが最初に突っかかってきたくせに。




そう思ったけど、それを言うとまた喧嘩になりそうだからやめておいた。





「…………おやすみなさい!!」




そのかわり、わざと大きな声でそう言って私も廉くんに背を向ける。