「ねぇ、シュウさん。」


ここは街の一帯にあるクラブ。


マシオたちが拠点にしているクラブ。


その奥にあるカウンターに座る私と、そこのオーナーのシュウさん。


「ん?」


シュウさんは私とマシオの事を何も知らないし、ただと客としか思っていない。

そんなシュウさんは、お兄さん的存在で、いつも私の話を聞いてくれる。


「シュウさんは、好きな人いる?」


ホールの真ん中はいつも賑やかで、男女が楽しそうに騒いでる。

それを見るのがすごく好き。


「好きな人か…。いるかな?」


そんな声が聞こえ、ホールからシュウさんに視線を戻す。


「シュウさんは、幸せ?」


グラスを拭いていたシュウさんが顔をあげた。

「…幸せだよ。凄くね。」


今まで見たことのないくらい明るく笑って、シュウさんは‘’幸せだ‘’と言った。


「そっか…」


幸せ。

私には分からない。

苦しいだけの片思い。


‘’幸せだ‘’といったシュウさんが、羨ましかった。