そして、賑わっている城下と同じく王城もバタバタと慌ただしかった。
 
 「国王様~どこですかー!!」
 「陛下~!!陛下~!!」
 「魔王がこっちに~っ!」
 

魔王襲来の知らせを受ければ、当然の反応だろう。


しかしながら、国王の鎌田くんは少し違った。

 
 「あ、こんなところにいたんですね、王様」

 
 城の文官を勤めている出海誉は、中庭で空を見上げる国王陛下を見つけた。
 
 いそいそと隣に並んで同じように空を見上げる。
 

 「何かあります?」
 
 「ん? いや、飛んでるなあ、と思って」
 
 「え? あー、ほんとですね。飛んでますね。魔王と石川様」

 「ああ、しかも石川は折り鶴みたいなのに乗ってるし、魔王らしきやつは自転車で飛んでる」
 
 「謎ですね」
 

 いつものトーンでのんびりと会話する二人を、他の誰かが見ていたのなら突っ込んだことであろう。

この状況をわかっているのか!?と。