魔王木村と勇者石川




一息ついた迷に、蛍が声をかける。
 

 「うちらも鶴に乗るのかいかい?てか私は新作の話も聞いてないんだけども?」
 


 「え?蛍も行くの?」
 
 またもやポケットをガサゴソしていた迷の手が一時停止した。


 
 しかしそれも一瞬のことで、手はまた動き出す。
 

 「え?行かないののの?」
 
 「え?だって、蛍はうちの国に用事無いでしょう?」
 

 会話をしながら迷が取り出したのは、1冊のノート。それを迷は床に広げて置く。
 

 「あ~、たしかに。あ、でもさ、せっかくだから魔女見習いの顔合わせとかとか」
 
 「あ~、同期がいると心強いし、嬉しいもんね~」
 
 「うんうん。てことで、白山さんと私も付いてくからね。」
 
 「え、私も行くんですか?!」


 
 唐突に巻き込まれて驚く白山さん。持っていた雑巾を握り潰してしまっている。
 

 「りょーかーい。ちょっと待ってね。」
 
 「聞いてくださいよ!!」
 


 「うんうん、白山さんも行くんだよだよ」