あと、今その手は…………、


 
「おい、考えながら掃除するのやめろ。話聞け。」


「え~」

 
そう、それだ。

木村よ、なぜ勇者と話をしながらフキフキを続けるのか。
 


「え~、じゃねえよ。下のやつにやらせる仕事だろ。人の仕事奪うな。」
 

しゅん、とする木村くん。

控えめに言って、とても可愛い。
 


ああ、なぜそんなに身長があるのに可愛く見えるのか。

ぜひご教授いただきたい。くぅっ
 

「でも、俺なんか、何もできないから、これくらいはやらないと……」
 

「は? 本気で言ってるのか?」

 
石川くん、説教モード発動。

なぜか正座しながら話を聞く魔王さま。


周りはそっと目をそらし、みんな掃除の続きを始めた。
 

ちなみにだが。

こんななかで、我関せずと小説を読み続ける冬城はもはや称賛に値するレベルだと思う。

なぜこの異様な雰囲気に気づかない……?!

 
まあ、物語に集中しているからなのだが。