「あれ?勇者くん?もう来てたの?あ、いらっしゃい。ごめんね、掃除が終わってなくてね。」
 

「……いや、そうじゃないだろ。」
 


この石川のツッコミには、その場の全員が心の中でうなづいた。

その通り。

みんながそう言いたかったことだろう。


 
「え?違うの?」
 
キョトンとしながらも手は止めない木村くん。さすがだ。
 

しかしながら、そんな魔王に勇者は大きなため息を吐く。

それはもう、体内の酸素ぜんぶ無くなっちゃうのでは?ってくらいに。
 


「お前さあ」
 

「うん」

 
「魔王なんだろ?」

 
「うん、一応。」

 
「王なんだって言うならさあ、もう少し偉そうにできないわけ?」
 

「う~ん」
 
考え込む木村くん。

ああ、そこで考え込まないで……!