「木村くんっ!って、鶴野くんか」


木村くんが、そんなこと言いながら入ってくるはずがない。


「鶴野、蛍先輩はお待ちじゃなかったってよ」

「えっ………」

「冬城くん、変なこと言わない。料理、もう置いちゃおう?」

「はい」


ワゴンには、銀の蓋がしてある料理の数々。運んでいるといい香りはするのだが、中身は見えない。

なんか、隠されると気になる。


「これ、何作ったの?」

「あっ、お品書きがあるので、良かったらそれ後で読んでください」

「お楽しみってことか」

「はい」

「そう言えば、無くなったイチゴミルク、代わりとかもうあるの?」

「あっ、はい。さっき、届きました」

「良かったー」

「そうっすねー」

「元凶は冬城なんだけど」

「あっ、バレた?」

「なんで、よりによってイチゴミルクだったんだよ?」

「えっ?それは___」




「お待たせー」



その声に、場が凍りついた。みんなガクガクと震えながら、振り返る。


「木村くん……」