「じゃあ、まずご飯食べるための椅子とテーブル、持ってこよう。はい、フキフキは本当にもうやめてねー」
蛍は木村くんの雑巾を取り上げる。
「えー」
だから、そこで照れたような可愛い顔しないでーーっ。くそう。
でも、ここで負けてはダメだ。
「ダメ、準備が先。勇者が来ちゃうじゃん」
「………なんか、ごめん」
そこで落ち込むかっ…。
木村くんが読めぬ。
「ほら、じゃあ冬城くんと早本くん連れて行ってきてー」
「えー、マジっすか。蛍先輩」
「なに、文句あんの?」
「いや、ないっすけど」
「じゃあ、蛍さん行ってくる」
「りょーかい」
にこやかに蛍は三人手を振った。
ふー。
静かな王の間が還ってきた。
よーし、誰も__うん、いない。
百合以外は誰もいない。

