その数時間前、魔王城の王の間。


白山さんを何とか送り出して、水晶で無事にたどり着いたことを確認した蛍は、深くため息をついた。

「さてと___」

改めて周りを見渡す。



「………」

白山さんたくさん寄り道してくれないかなー。



無理だ。

フキフキ魔王に、
王座に腰を下ろす読書中の使用人、
足の生えた百合と、
それに水を与えている百合好きの料理人、
扉をパカパカし始めた近衛。


何からどう手をつけていいか………


「あっ!」

別に何かから手をつけていかなくてもいいじゃないか。


「みんなー、注目」


全部一気に解決してしまえばいい。


「勇者の歓迎パーティーの準備をしようっ」


魔女蛍、年齢不詳。

生きていて初めてくらいに、冴えたことを言いました。


イエーイ。