そんな風に、魔王城でバタバタしていたしばらく後。

勇者石川(とその追跡者迷)はとうとう魔王領の端っこにたどり着いた。



「ここが……」

「初めまして。勇者石川さまですね? 魔王さまの命により、お迎えに上がりました。」

「は……? 誰?」


初めて見る魔王領に、何か言おうとした声を遮り、隣から女性の声が聞こえてきた。

そちらを見ると、黒髪ポニーテールの長身の女性。


 
その女性は、うやうやしくお辞儀をして、簡単に自己紹介をした。


「申し遅れました。私は白山静流と申します。白山とでもお呼びください。」

「そうか、俺は石川だ。勇者としてここに来た。」

「存じております。では、早速案内させていただきますね。」


すっと前を見て歩き出す白山。

しかし、それを呆気に取られて見ていた石川が、なんとか引き止めた。