「木村くん先生は、一日に何フキフキするんですかー?」
「………フキフキって単位あった?」
「じゃあ、自転車で一番遠くまで行ったのはどこっすか?」
「フキフキ関係ないんじゃ___」
「制服の着心地ははは?」
「え?」
次々と矢継ぎ早にくる質問に戸惑う木村くん。
「実はその先生の制服ふくふく、私が心をこめて」
「作ってくれたの?」
「いや、監修させていただきました…」
「つまり、ただ作られるのを見てたということです」
いらない説明を付け加えてくれた白山さんである。
「キーンコーンユーリ、キーンコーンユーリ」
鶴野流、チャイム音。
「えっ、終わり?」
木村くんが驚きの声をあげる。
「今日の授業は特別十五分授業なので」
「二時間目、病むの魔術に対する防衛術の時間だよよよ」
えっ?
噛んだでしょって?
どう考えたってそこは“闇の魔術に対する防衛術”だろうって?
でも、合ってるんだなー、これが。
「この授業はネガティブな考えを石川くんのありがたい言葉で防衛する授業ですのんのん」
「はーーーっ?」
絶叫した石川くんに木村くんの一言。
「どんまい」
ちなみに悪気ゼロである。
「……木村、これ絶対お前のせいだろ」
「えっ、俺の企画じゃ…」
「お前が自己評価低すぎるからだろ!」
「関係な…」
「くない」
断言された木村くんは一拍考えて、魔法の言葉を口にした。
「なんかごめん」
「では、先生に防衛術を授けて欲しい人は手を高くあげてくださ……」
白山さんは木村くんを華麗にスルーしようとして、おでこにしわを寄せる。
「蛍先輩、迷先輩。バンザイしろとは言ってません」
バレたか。
「だってー、ねー?」
「「どう頑張っても、その白山さんの高く上がった手には敵わないんですけど!」」
「司会をやってはいますが、私だって制服着せられてんですよ⁉こんなヒラヒラの。手をあげる権利くらいあるはずです」
「だって、白山さんのヒラヒラの制服姿見たかった………」
「それですっ」
「私、白山は先輩たちのセクハラで病みます!」
「それは………」
石川くんは言葉を探す。
「………災難だったな」

