魔王木村と勇者石川



「やめろーーっ!!」

………歌詞にされた三人を代表した石川くんの叫びが、学校中に響き渡ることになりました。


「以上で、入学式を終了します。全員起立」

鶴野流、じゃん じゃん じゃじゃーんのエビぞり


「なあ、もうすでに百年分の授業を受けたような疲れがあるんだが」

「同じく」

げっそりした三人を見つけた迷は心底楽しそうに笑った。

「まだまだこれからだよー」

「「「マジか………」」」

記念すべき三人の初ハモりであった。


「一時間目 魔王の魔王による魔王のためのフキフキ講座 いちごミルク付」


「えっ俺?」

「どんまい」
「がんば」

「えっ、見捨てないで」

「遠くから笑っててやる」

「やめい」


木村くんが仕方なく立ち上がったのを合図に、白山さんのマイクを冬城くんが奪う。


「特別講師のフキフキ特許を取得した、今話題の何様?魔王様!木村様!に拍手ー!」



ぱちぱちぱち。
約二名が熱心に拍手をする。


「えっと、じゃあ。とりあえず雑巾のしぼり方を____」


「せんせーい」

「えっ、なんでしょう?」


始まってもいない説明を遮ったのは、迷だった。