魔王木村と勇者石川




司会は白山さん(エアマイクを持っている)。

「これより入学式をはじめます」

じゃん じゃん じゃじゃーん

“いぬのおまわりさん”のわんわんわわーん風のおじぎのタイミングの分からない音を奏でたのが、鶴野くん(口でエアピアノ)。

一音多いせいで、なぜかみんな最後のじゃーんでエビぞり。

「校長挨拶」

登壇したのは迷で、

「みなさん、ご入学おめでとうございます。みなさんのご入学を心よりお待ち申し上げておりましたー」

「だろうな」

石川くんがぼそっと呟いたので、蛍はカメラでパシャリ。カメラマン蛍である。

「ぜひ、楽しい学校生活を送ってください?」

なぜか疑問系で締めくくった迷は降壇する。

「では、両国歌斉唱」

「えっ、そんなのあったっけ?」

木村くんが慌ててるので、蛍はここぞとばかりに宣言する。

「作詞 迷蛍 作曲 冬城 伴奏 早本。歌詞カードを配布いたしますのでご覧くだされ」

「へー」

鎌田王が一人感心する中、歌詞カードを見た魔王と勇者は顔をひきつらせた。

そんな三人以外は、あらかじめ内緒で練習を重ねてきた(これが結構難しかった。なにせ、徘徊フキフキ魔王がいたから)。

今、その成果を見せるべし。


「せーの」


冬城くんのデタラメな指揮下のもと、みんな一斉に息を吸った。