「うそー、私割れたのー?」


「んなわけなかろう」

石川くんが突然現れて、迷と蛍はひっくり返る。


「石川くんも割れてるーー死んじゃうーー」

そう叫びつつもなんとか起き上がろうとする蛍に突然上から影が落ちた。

が、それに気がつくのが一瞬遅く、


ごつん


蛍はその影の主に強烈な頭突きを食らわせてしまったのである。


「………っ、蛍さん、落ち着いて」


痛さに悶絶する木村くん、かわいい。


「って、じゃなくてっ!ごめん!!木村くんも割れて……ない?」


「ん、誰も割れてないから落ち着こう」


木村くんは少し額をさすりながらも、水晶玉の破片を回収し始める。


「今日も徘徊か、木村」

「んー、見回りと行ってほしい」

「ふん。そんな高尚なことをしているとは驚きだ」



「……なんかごめん」

手を休めて壊れた水晶玉越しに目を合わせて木村くんが頭を下げる。

当然だが、一応、一応の一応言っておくと、どこかのお馬鹿でストーカーな誰かさんと違って水晶を頭でかち割るなんて暴挙には出ない。


さすが、木村くんだ。


「俺はお前の謝罪より、カメラを構えてるお二人方から謝罪が欲しいがな」


ビクッ。

………はーい。お二人方でーす。


慌ててポケットに手を突っ込んだ魔女二人を見ながら渋面をつくる石川くんをよそに、


「なんかごめん」

しばらくして、


「お前話聞いてたか?」

石川くんが貯金したら池が溢れるんじゃないかと思うくらいふかーくため息をついた。


うん、さすが木村くんだ。