「さすが石川くんだなあ~。剣を魔法の杖扱いしてるよ~」
そう、石川は剣を抜き、攻撃をするのではなく、剣を抜き、それを構えて魔法を使ったのだ。
つまり、魔法の杖である。
もともと、石川は剣士より魔術師といった風貌であった。
才能もまた然りである。
次の敵も似たようなものだった。
「氷の息吹よ、我が剣に宿れ。」
そして何やら難しげなカタカナの言葉のあと、剣を横に薙いだ。
するとどうだろう。
氷だか雪だかが混じったような冷たそうなやつがすごい勢いで飛び出し、敵を凍らせて割ってしまった。
その光景を見ていた迷はそっと、「こわっ」と呟いた。
凍らせて凍死させた上に割るなんて。
しかしながら、魔物図鑑に載っている正式な魔物の倒し方の一つである。
石川は博学だ。
その後も概ねそんな感じだった。
たくさんのウヨウヨしたヤツに取り囲まれた時はどうしようかと思ったけど、何とかなったし。
そんな風にして進み続ける。
この調子で行けば、あと数日で魔王領にたどり着けるだろう。

