むかしむかし、魔王ひきいる魔族ならびに魔王領に住む人々と、人間の王がひきいる人間の国の人々は、敵対関係にありました。

 
あるとき、勇敢な貴族が勇者として魔王を討伐に行きました。
 

そして魔王城につくと、そこにいたのは心優しい魔王さまと、愉快なその部下たちでした。
 

魔王の人柄を知った勇者は、人間の中にあった魔王や魔族の印象は間違っていたのだと知り、そのまま人間の国へと帰りました。
 

そのとき、魔王は、自分も行くと、勇者とともに人間の国へと行きました。

 
和平条約を結びたいと思ったのです。
 

勇者の帰還と、魔王の登場にいささか驚いた様子の王さまでしたが、懐の深いお方でしたので、快く魔王の申し出を受けてくださいました。

 
魔王との和平が結ばれたことで、一時的に混乱したものの、人間の国も落ち着き、世界には文字通りの平和が訪れました。
 

もう、人間は魔王に怯えません。
 
もう、魔王は、恐れられることを嘆く必要もありません。

 
魔王領と人間の国との交流もされるようになって行き、今ではみんなが心穏やかに暮らしています。
 


魔王の城へ赴き、その本質を見抜いた勇敢で人を見る目を持つ勇者に。
 

根付いた誤解を解くために奔走した、平和を望む優しい魔王に。

 
偏見を持たずに魔王と対話し、その広い心と賢さで、和平を成立させた国王に。
 

今では三大英雄と呼ばれる彼らに敬意を。