「………」


俺の言葉に理紗は何も言わず、暫く俺を睨み付けた。

それに負けじと俺も理紗をにらみ返す。


俺だって黒瀬をバカにされて怒ってるんだ。

ここは絶対引かねぇ。


「………、分かったわ」


無言の戦いの末、先に目を逸らしたのは理紗だった。

小さく溜息をひとつついて、理紗はそっぽ向いて校舎の中に消えていった。


……なんだったんだよ。


俺は理紗が入っていった扉を見つめて頭を掻いた。


















このとき俺は知らなかった。

理紗がしていた大きな勘違いに。