高校に入学し、数日が経った頃、朝のHRに、担任と一緒に、教室に入ってきた少年。
彼を見た瞬間、教室内はザワザワと騒がしくなった。

長身細身、整った顔立ちに、金色に染まった髪の毛。

見た目は悪くはないが、さやかは彼を見て、胸騒ぎがした。

思い出したくはないが、中学3年生の時に、少しの間、好きになってしまったアイツに、顔がそっくりなのだ。
それこそ兄弟かと思うレベル。
だけれど、アイツは母親と2人暮らしだったはず…。

結局、他人の空似と考えをまとめたが、それにしてもアイツにそっくりな彼をマジマジと見つめる。
そう考えると、アイツも顔だけは本当に良かったのに…と、物思いにふける。

「鈴木 澄翠(すずき きよあき)です。
風邪で、春休みのほとんどを寝て過ごしてました(笑)
よろしく!」

アイツにそっくりな彼の苗字を聞き、さやかは安堵のため息をついた。
よかった…、戸田(とだ)じゃない。