手のひら王子様

今更謝っても絶対許してあげないんだから!


性懲りもなくわたしを引き止める椋太朗を不機嫌な眼差しで振り返れば、


「……桜菜はずっとおってな」


「えっ?」


「好きやでってことや。おやすみっ」


一瞬寂しそうに呟いた声の後に、思い切りニッて笑いながら頬っぺたにキスされてしまった。


全く油断も隙もない……。
呆れて文句を言うより先に盛大な溜め息が口から飛び出した。


またお人形だったときみたいに、わたしの答えを聞かずに眠ってしまう気なの?


そのままコロンと寝返りを打った椋太朗が背中を向ける。


降りようとしたベッドにまた上がって、わたしはそっと椋太朗に耳打ちをした。


「大丈夫。これからもずっと椋太朗と一緒に居るよ」


驚いたように開いた目がわたしの視線と重なり、


「……うん。おってや」


小さく答えた椋太朗がゆっくりとはにかんだ。


バカ明るい元気で……他人の感情に敏感でその癖人一倍寂しがり屋の王子様。


そんな厄介で手の掛かる王子様の相手役はわたしが一生担ってあげるよ。