手のひら王子様

思ったことをありのまま素直に告げたら、


「……ヤバイ。また桜菜がそんな可愛いこと言うから」


「えっ? 何……」


「めっちゃキスしたい」


「えっ!?」


いつの間にかセンチメンタルは消え去り、ぽわんとした呆けた顔付きをした椋太朗がわたしを見つめていた。


センチメンタルから転じて貞操の危機に陥る。


どうしよう……。
こんなに広いお家だから聞こえるかはわからないけど、一か八か大声を張り上げるしかないか!


そう思って大きく息を吸い込んだ瞬間、


「隙あり!」


「っん!」


チュッという軽快な音と同時に唇にふわっと落ちた温もりに、吸い込んだ息をそのまんま飲み込んでしまった。


今の感触は……!


「バ、バカ!」


「ごめんごめん~。だって桜菜が可愛らし過ぎるねんもん」


「もう……知らないっ!」


センチメンタルを一瞬で消された上に、不意打ちでキスされたのとで怒りが一気に込み上げていく。


そのまま怒り任せに椋太朗の懐から身を翻し、ベッドを降りようとしたところでまた手を掴まれてしまった。