手のひら王子様

寝る前に部屋で喋ろうと言われて椋太朗の部屋に来たものの……落ち着かない。


だってお風呂あがりの男女が一つの部屋に居るなんて……。


お人形の時とはワケが違う。


「布団干してある……梓さん端から泊める気満々やん」


ボスッとベッドに仰向けに飛び乗った椋太朗が布団に顔を埋めて小さく笑った。


ベッドの端っこにちょこんと座ってたわたしに、


「桜菜の実家の部屋もベッド?」


「……うん。二段ベッドをバラしたヤツ」


「ええなぁ。姉妹おったらそういうのがあんねんなぁ」


他愛ない話題を振って何でもないように笑ってる。


それを背中で聞いていたわたしの手に、ふわっと大きな手のひらが重なった。


さっきより椋太朗の距離が縮まってるのに気付き、振り返ろうとした瞬間。


「……アカン。今情けない顔してるから」


「っ!!」


こう言って椋太朗は重なった手ごとわたしをベッドの中へと引き寄せた。


驚いて椋太朗を見上げるより早くその体に顔を押し付けられて、視界は完全に塞がれてしまう。

わかるのは椋太朗の体温が温かいのと、心臓がトクトクと鼓動を刻んでることだけだ。