手のひら王子様

「お邪魔虫たちは退散しますから二人で心行くまでやってくださいね。桜菜ちゃん行きましょ」


そう言って梓さんはわたしにニコッと笑いかけ、部屋の出口へスタスタと歩いて行ってしまった。


二人きりの方が色々ざっくばらんに話せていいのかも。


慌てて梓さんと柊くんに続こうと椅子から立ち上がると、


「アカン。桜菜は一緒におって」


「えっ……でも」


隣に腰を降ろした椋太朗に手首を掴んで引き止められてしまった。


オロオロと椅子の前で立ち尽くして目を泳がせるわたしに、


「いいですよ。椋がそう言うならおってあげて」


「は、はい……じゃあ」


微笑んだ椋太朗のお父さんの目配せに答えるようにおずおずとまた椅子に腰を降ろす。


さっきまでずっと聞こえてた梓さんの弾んだ声や柊くんの遊ぶ声がなくなった部屋は静まり返っている。


その静けさが今更になってわたしを緊張させた。


だって、二人とも急に黙っちゃうんだもん。
なんだか居心地が悪い……。