手のひら王子様

わたしが最後まで言わせなかったのが不服だったらしく、


「……桜菜は俺のこと好きじゃなくなったんや」


「もう……そんなことは言ってないでしょ」


「だって」


唇を尖らせた椋太朗はグチグチと拗ねた子ども状態。


……ホント、体は元に戻っても中身はチビッコのまんまなんだから。


「じゃあ好きって言ってや」


「なんでそうなるの」


「言って欲しいからやん」


この駄々っ子な態度もお人形の時と変わってない。


むしろ大きくなった分余計に手がかかるんだよね……。


頑として譲らない一応年上のはずの彼氏に手を焼いてると、


「ええ加減にしときや。大の男がみっともない」


「アデッ!」


不意に開いた大きな扉から出て来た人影に、駄々っ子の頭がペシッと叩かれた。


玄関から出て来たのは細身に眼鏡の男性で。


これはもしかして……と思わず身構える。


「何すんねん親父!」


「おまえこそ玄関先で何やってんねん」


やっぱり椋太朗のお父さんその人だった。