広い部屋の窓沿いには、クイーンサイズの大きなベッドが置かれていた。



椿雪さんについてそっと近寄ったそこには、
とてもわたしの手のひらなんかじゃ収まりきらない等身大の椋太朗が静かに横たわっていた。




初めて見る本物の椋太朗は穏やかな顔で眠っている。



「……本物の椋様は、いかがですか？」


「えっ……あの」




気のせいだろうか……。



人形の椋太朗よりも大人っぽく見えるのは……。



思ったまま口にすれば、



「そうですね。あの人形は中学生の頃の椋様がモデルですから」



あっさり答えてくれた椿雪さん。




……何故、中学生？



眉を顰めるわたしの表情は余程わかりやすかったのか、



「椋様は中学生の頃が一番可愛らしかったので。旦那様のお気に入りなんです」




椿雪さんはやっぱり淡々と説明をしてくれた。




……そんな理由？



なんていうかさすが椋太朗のお父さんって感じだな……。




「……椋太朗のお父さんって、どんな人ですか？」