手のひら王子様

鬱陶しい人間が二人に増えて、うんざりしてるわたしになんて気づかず、



「さくちゃんに食べさせてあげようと思って練習したの」



危なっかしくて見てる方がオロオロしてしまう手つきで晩ご飯を作ってくれた。



食卓に並んだのは、お母さんに習ったわたしの好きな料理ばかり……。



箸をつけるわたしの顔をじっと見つめて、反応を窺っている百合菜に、


「……思ったより美味しい」



言ったら、嬉しそうにはにかんでた。



なんだかそれがくすぐったい……。



お母さんにはかなわないけどね。



付け加えたわたしに、


「当たり前だよ~。だから」



食べに帰っといでよ?


なんて反対に言い返されて、



わたしはわざと、そっぽを向いた。



その後、



食べ終えた食器を百合菜と並んで片付けた。



わたしが洗った食器を隣で濯いでいく百合菜は、



いつもよりずっとおしゃべりになって、はしゃいでいた。



はしゃいでいるせいなのか、



水に触れているはずの百合菜の手が熱い。



……そんなんじゃない。




百合菜の異変に、もっと早く気付いてあげるべきだったんだ……。