真剣な顔で椋太朗を見つめるわたしに、



「何回も言ってるやんっ! 俺は桜菜の……」


「王子様ってのはナシ。ちゃんと答えて」



満面の笑みで答えようとしていた椋太朗をねじ伏せた。



ねじ伏せられた椋太朗は、真剣な表情で詰め寄るわたしにビックリしたように固まっていた。



そんな椋太朗からわたしは、一瞬たりとも目を逸らさない。



「答えてったって……」



いつもベラベラ喋ってる椋太朗にしては歯切れが悪い。



やっぱり言いにくい事なのかな……。



黙って椋太朗の言葉を待っていたわたしは、ぐっと息を飲んだ。




ちょっと伏せていた視線をわたしに向け、椋太朗は口を開いた。



「俺は、前から桜菜を知っとった」



「……はぁ?」



真剣な面持ちで語り出した椋太朗の第一声は的外れで、



わたしは思わず眉をしかめた。



それにも関わらず、


「学校で友達とおるときの楽しそうな顔も、一人のときの突っ張った無表情も、全部見とった」



椋太朗は言葉を紡いでいく。