涙がこぼれ落ちる前に(短編)

でも、怜央くんが隣にいるだけで、心はあったかくなる。

「ほんとに寒くない?」

「うん!ぜーんぜん!」

と、ヘラヘラしながら言うと、

「ほっぺ、真っ赤じゃん。これかけときな」

と、ふわり、私の首にマフラーを巻いた。