「俺さ、もうすぐホスト辞めて、地元帰るんだ。」

マンションまで送ると言った帰り道、びしょ濡れ店長ホストは、独り言のように言った。

「そっかー。お疲れ様。地元で何するの?」

「カフェやろうと思うんだ。地元で絵描いてる人の絵とか、写真とか、小物とか、集めてさ。」

「いいね。」

「一緒に帰らない?」

「は?」

「嘘、嘘。」

その日、久しぶりに湯船に浸かって眠った。

そういえば、自分はなんで、新宿にいるんだろうか。