私は今まで開かなかった、かずくんの電話番号を出した。


…やっぱり緊張する。でも。

私のこと忘れてても、嫌いになってても、新しい彼女ができてても。

私が思ってること、伝えなきゃ。


大きく吸って、息をゆっくり吐く。
震える指を動かそうとした、その時。

画面に、Callingの文字。

慌てて出た相手の音声と、校庭の歓声が重なった。


涙が止まらないのは許してほしかった。


「待たせてごめん、織姫」

「遅いよ、彦星」


ずっとほしかった温もりに、私は飛び込んだ。








星にも願えない

(なら、自分で何とかするしかないでしょう)







End.